2022/08/23 Posted by 小野寺

キャリアアップ助成金とは?支給額・コース・流れなどを解説!

キャリアアップ助成金は日本国内の「非正規雇用労働者の減少」を目的として用意された助成金です。その財源は雇用保険で賄われており、主に厚生労働省が中心となって力を入れています。
 
今回は、キャリアアップ助成金のコースや流れなど、細かな情報をお届けしていきます。キャリアアップ助成金の導入を考えているのなら、ぜひ参考にしてください。

キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者・派遣労働者・短時間労働者など非正規雇用の労働者のキャリアアップを促すために用意された助成金のことです。

さまざまなコースがありますが、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の取り組みをした事業主が、その助成金を受け取れます。

キャリアアップ助成金が生まれた背景

キャリアアップ助成金は非正規雇用労働者を減らすことで、労働者の意欲や能力の向上・事業の生産性の向上を目的として生まれました。キャリアアップが促進されれば、少子高齢化による労働者不足の時代に向けて、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

キャリアアップ助成金のコースについて

キャリアアップ助成金には7つのコースがあり、事業主は取り組む施策に合わせたコースを選択する必要があります。

1.正社員化コース

有期雇用労働者などを、正規雇用労働者に転換する・直接雇用する。

2.障害者正社員化コース

障害のある有期雇用労働者などを正規雇用労働者に転換・直接雇用する。

3.賃金規定等改正コース

雇用形態別・職種別の一部の有期雇用労働者などの基本給の賃金規定を、2%以上増額または昇給する。

4.賃金規定等共通化コース

有期雇用労働者などと正規雇用労働者の賃金規定を共通で規定・適用させる。

5.賞与・退職金制度導入コース

有期雇用労働者などを対象に、賞与・退職金制度を導入して積立を実施または実際に支給する。

6.選択的適用拡大導入時処遇改善コース

短時間労働者の意向を把握した上で、被保険者として社会保険の適用を拡大する。

7.短時間労働者労働時間延長コース

有期雇用労働者などの労働時間を週に3時間以上増やし、社会保険の適用とする。

キャリアアップ助成金申請までの流れ

キャリアアップ助成金を支給申請するまでには、所定の流れに沿った準備が必要です。ここでは、キャリアアップ助成金申請の流れについて説明しましょう。

1.「キャリアアップ計画」を提出する

「キャリアアップ計画」を作成し、各コースの実施日前日までに労働局・ハローワークに提出します。労働局・ハローワークでは、キャリアアップ計画の作成援助と認定を行います。

2.取り組みの実施

各コースによって取り組みの内容は変わりますが、就業規則の改定や正社員への転換など具体的な取り組みを実施します。労働局・ハローワークに、取り組みに対してアドバイスをもらうことも可能です。

3.取り組み後6ヶ月の賃金支払い

キャリアアップ計画を実施し、その後6ヶ月の賃金支払いを行います。正社員転換コースでは、転換前の6ヶ月と比較して3%以上賃金を増額しなくてはいけません。

4.支給申請

6ヶ月の賃金支払い完了後の翌日から2ヶ月以内に、支給申請を実施します。労働局・ハローワークでは受け取った支給申請をもとに、支給審査を行って支給の有無を決定します。

キャリアアップ助成金の対象は?

キャリアアップ助成金の対象は、全コース共通で以下のように定められています。

1.雇用保険適用事業所の事業主

2.雇用保険適用事務所ごとに「キャリアアップ管理者」を置いている事業主(キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません)

3.雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主(計画書に記載されていない変更がある場合には「キャリアアップ計画書(変更届)」の提出が必要です)

4.該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況および賃金の支払い

状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主

5.キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主、民間の事業者の他、民法上の公益法人・特定非営利活動促進法上の特定非営利活動法人・医療法上の医療法人・社会福祉法上の社会福祉法人なども助成金の対象事業主に該当します。

キャリアアップ助成金の支給額について

ここでは、キャリアアップ助成金の支給額について説明しましょう。ただし、申請事業主が大企業の場合は、下記とは違う支給額が適用されます。

正社員化コース・障害者正社員化コース

有期雇用労働者から正規社員:1人当たり57万円(生産性の向上が認められる場合は72万円) 無期雇用労働者から正規社員:1人当たり28万円5,000円(生産性の向上が認められる場合は36万円)

賃金規定等改正コース

1〜5人:1人当たり32,000円(生産性の向上が認められる場合は40,000円)

6人以上:1人当たり28,500円(生産性の向上が認められる場合は36,000円) 増額改定の割合などによって加算措置が適用されます。

賃金規定等共通化コース

1事業所当たり57万円(生産性の向上が認められる場合は72万円)

賞与・退職金制度導入コース

1事業所当たり38万円(生産性の向上が認められる場合は48万円)

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

1事業所当たり19万円(生産性の向上が認められる場合は24万円)

措置当日以降に新たに社会保険の被保険者となった有期雇用労働者などの基本給を、一定の割合以上増額した場合は、基本給の増額割合に対して別途助成金が加算されます。

短時間労働者労働時間延長コース

1人当たり22万5,000円(生産性の向上が認められる場合は28万4,000円)

労働者の手取り収入が減少しないように、所定労働時間の見直しとともに基本給を昇給した上で、社会保険に適用させた場合の加算額は下記の通りです。

1時間以上2時間未満:1人当たり55,000円(生産性の向上が認められる場合は70,000円) 2時間以上3時間未満:1人当たり10万5,000円

キャリアアップ助成金が不支給になることがある

キャリアアップ助成金は、申請すれば適用されるというものではありません。正式な審査があり、不支給になる可能性も考えられるのです。

キャリアアップ助成金が不支給になる例は下記の通りです。

・書類に誤りがある

・事務所の実地調査に協力しない

・事業主の支給条件を満たしていない

また、以下の7つの条件に1つでも当てはまる場合も、助成金を受給できません。

1.支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主

2.支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主

3.性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主

4.暴力団と関わりがある事業主

5.暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体等に属している事業主

6.支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主

7.支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない事業主

まとめ:キャリアアップ助成金とは?支給額・コース・流れなどを解説!

いかがでしたか?キャリアアップ助成金は非正規雇用労働者の減少を目的として用意された助成金であり、

キャリアアップ助成金の種類には、

・正社員化コース

・障害者正社員化コース

・賃金規定等改正コース

・賃金規定等共通化コース

・賞与・退職金制度導入コース

・選択的適用拡大導入時処遇改善コース

・短時間労働者労働時間延長コース

の7つのコースがあるということでした。自社の取り組みに該当するコースがあれば、キャリアアップ助成金の申請を検討してみましょう。

補助金・助成金申請の代行が可能!まずは診断へ!

補助金・助成金の申請には多くの労力が必要で、結果的に自社が検討していた補助金や助成金の対象でない場合もあり得ます。そのため、自社にどんな補助金・助成金が適しているかを知るために、まずは当サイトの診断を活用することをおすすめします。

  • この記事をシェアする
  • B!
更新日:2022/08/26