事業再構築補助金は、テイクアウト販売の実施や、ECサイトシステムの構築、広告宣伝費用など幅広く活用することができる大型補助金です。
しかし、これまでの全体から見た採択率は40%程度と狭き門であるため、事業再構築補助金の理解は欠かせません。
今回は、事業再構築補助金の採択率や申請要件、対象となる経費などについて紹介していきます。事業再構築補助金の理解を深めたい方はぜひご覧ください。
目次
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、売り上げ回復や規模拡大を目指す企業の、思い切った事業再構築の挑戦を支援する補助金になります。
新型コロナウイルスによって、多くの企業がwithコロナに対応するために変化を余儀なくされていますが、まさしく事業再構築補助金は経済社会の変化に対応するために適した補助金となっています。
事業再構築補助金はどのような活用ができる?
事業再構築補助金では、下記のような活用が可能です。
・オンライン専門の注文サービスやテイクアウト販売の開始
・オンラインでの対応
・サブスクサービスの開始
・宅配サービスへの参入
・ECサイト構築費用
・建設業者が自社保有の土地を活用してキャンプ場を整備 など
事業再構築補助金はさまざまな使い方ができますが、ECサイトを構築してオンラインで注文できるようにするというのは、withコロナの時代に合った事業再構築補助金の活用法でしょう。
事業再構築補助金は返済の必要はある?
事業再構築補助金に限らず、補助金は原則として返済不要です。
しかし、要件を満たさなかったり、検査や報告に協力的でなかったり、虚偽報告などをした場合には、返還を求められるケースがあります。
事業再構築補助金の採択率について
事業再構築補助金の採択率は以下の通りです。
第1回:36.0%(22,231件/8,016件)
第2回:44.8%(20,800件/9,336件)
第3回:44.4%(20,307件/9,021件)
第4回:44.7%(19,673件/8,810件)
第5回:46.1%(21,035件/9,707件)
第1回目の採択率は36%と一番低かったですが、第2回目以降は10社中4社以上が採択されるようになっています。
事業再構築補助金のスケジュールについて
2022年7月30日現在、第6回公募が締め切られ、第7回の公募が開始されています。
第7回のスケジュールは以下の通りです。
公募開始:令和4年7月1日(金)
申請受付:令和4年8月下旬で調整中
応募締切:令和4年9月30日(金)18時
採択発表:令和4年11月下旬~12月上旬
公募開始から採択発表までは約半年間であり、申請から補助金獲得までは時間が必要であることがわかります。
事業再構築補助金の対象者は?申請要件について
補助対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等となっております。また、補助対象者の要件は、公募開始日において満たしている必要があります。
補助対象者の中小企業者等というのは、業種ごとに資本金・従業員数が定められており、例として製造業・建設業・運輸業の場合、資本金3億円以下、従業員数は300人以下となっています。
「通常枠」の必須申請要件の大きなポイントは、下記3点になります。
・売り上げの減少
・新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
・認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
それぞれについて見ていきましょう。
売上の減少
「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、
コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。」
第一に、上記記載のとおり対象となる月の売り上げ減少が条件となるため、売り上げが下がることなく伸び続けている企業は対象にはなりません。
また、任意の3ヵ月は、連続である必要はないため組み合わせることが可能です。
新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」の5つのうち、
いずれかの型に該当する事業計画を策定し取り組む必要があります。
それぞれの定義は以下の通りです。
「新分野展開」…中小企業等が主たる業種(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいう。以下同じ。)又は主たる事業(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業をいう。以下同じ。)を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいう。
「事業転換」…中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。
「業種転換」…中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいう。
「業態転換」…製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう。
「事業再編」…会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことをいう。
認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
「事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する。
補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。」
上記の中の認定経営革新等支援機関は、中小企業診断士や税理士などによるものになります。
「補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。」
上記の中の付加価値額は、人件費と営業利益、減価償却費を足したものになります。
事業再構築補助金の補助額は?
事業再構築補助金の補助額は、従業員数によって上限が変わり、補助率は中小企業等に該当するか中堅企業等に該当するかによって変わります。
[通常枠]の事業再構築補助金の補助額は、下記の通りです。
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
20人以下 | 100万円~2,000 万円 | 中小企業者等 2/3 6,000万円超は1/2 中堅企業等1/2 4,000万円超は1/3 |
21~50人 | 100万円~4,000 万円 | |
51人~100人 | 100万円~6,000 万円 | |
101人以上 | 100万円~8,000 万円 |
通常枠以外の事業再構築補助金の補助額は、下記の通りです。
大規模賃金引上枠の補助額
大規模賃金引上枠は、多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる補助金枠になります。
中小企業者等、中堅企業等ともに
従業員数101人以上:8,000万円超~1億円 補助率:中小企業者等 2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) 中堅企業等 1/2 (4,000万円を超える部分は1/3)
回復・再生応援枠の補助額
回復・再生応援枠は、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等を対象に、補助率の引き上げられている補助金枠になります。
中小企業者等、中堅企業等ともに
従業員数5人以下:100 万円 ~ 500 万円
従業員数6~20 人:100 万円 ~ 1,000 万円
従業員数21人以上:100万円 ~ 1,500万円
補助率:中小企業者等 3/4 中堅企業等 2/3
最低賃金枠の補助額
最低賃金枠は、最低賃金の引き上げによって業況の厳しい中小企業等を対象とした補助金枠になります。
中小企業者等、中堅企業等ともに
従業員数5人以下:100 万円 ~ 500 万円
従業員数6~20 人:100 万円 ~ 1,000 万円
従業員数21人以上:100万円 ~ 1,500万円
補助率:中小企業者等 3/4 中堅企業等 2/3
グリーン成長枠の補助額
グリーン成長枠は、グリーン分野での事業再構築を通じて成長を目指す中小企業等を対象とした、補助金枠になります。
中小企業者等:100万円~1億円
中堅企業等 :100万円~1.5億円
補助率:中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3
緊急対策枠の補助額
緊急対策枠は、原油価格・物価高騰等総合緊急対策に基づいて、原油価格・物価高騰等の予期せぬ影響を受けている事業者を対象とした、補助金枠になります。
中小企業等、中堅企業等ともに
従業員5人以下:100万円~1,000万円
従業員6~20人:100万円~2,000万円
従業員21~50人:100万円~3,000万円
従業員51人以上:100万円~4,000万円
補助率:中小企業等 3/4 中堅企業等 2/3
事業再構築補助金で経費になるものとならないものについて
続いて、事業再構築補助金で経費になるものとならないものについて見ていきましょう。
対象経費になるもの
事業再構築補助金で補助対象経費になるものは下記になります。
機械装置・システム構築費(リース料を含む)・技術導入費・専門家経費・運搬費・クラウドサービス利用費・外注費・知的財産権等関連経費・広告宣伝・販売促進費・研修費
対象経費にならないもの
対象経費にならないものとしては、下記が挙げられます。
事務所等に係る家賃や光熱水費・フランチャイズ加盟料・商品券等の金券・不動産の購入費・株式の購入費・自動車等車両購入費/修理費・収入印紙・振込等手数料(代引手数料を含む)・公租公課・各種保険料
中小企業等が将来にわたって持続的に競争力強化を図る取組を支援することを目的としており、基本的に、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をする必要があります。
事業再構築補助金は何度も申請可能?
事業再構築補助金は、不採択になった場合採択公表日以降に再度申請することが可能です。
個人事業主は対象外?補助対象者となる法人格は?
事業再構築補助金は個人事業主も対象であり、要件に当てはまれば申請が可能です。
対象となる法人格としては、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・弁護士法に基づく弁護士法人・公認会計士法に基づく監査法人・税理士法に基づく税理士法人・行政書士法に基づく行政書士法人・企業組合・協業組合・事業協同組合・事業協同小組合・一般財団法人・一般社団法人などが挙げられます。
対象の範囲は広く、補助対象者となる法人格のすべてをご覧になりたい方は下記よりご確認ください。
◆補助対象者となる法人格の一覧:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/hojyotaisyou_houjinkaku.pdf
事業再構築補助金を利用する上での注意点
事業再構築補助金は給付金とは異なり、書類の整理や報告に正確性が求められ、相当な時間が必要になります。また、採択後に使いたかった経費が否認された場合には、事業再構築補助金の補助額は大きいため痛手になります。
事業再構築補助金の採択を受け、しっかり補助金を獲得するためにも、経費になるものとならないものをしっかり理解した上で、不正をしない、透明性を持つことが大切です。
事業再構築補助金の申請代行で依頼できる内容とは?
事業再構築補助金は原則として返済不要であるものの、補助金額が大きくリスクもあることから、補助金のプロに申請代行をお願いすることがおすすめです。
事業再構築補助金の申請代行では、事業計画書の作成、実績報告書等の作成を依頼できます。
事業再構築補助金において、補助金獲得には事業計画書や実績報告書はとても重要なものとなります。
事業再構築補助金の申請代行にかかる費用としては、着手金として5万円~15万円程、成功報酬としては10%~20%程が相場となっております。
まとめ:事業再構築補助金とは?採択率・申請要件・経費等を紹介!
いかがでしたか?今回の内容としては、
・事業再構築補助金は、withコロナの時代に、思い切った事業再構築の挑戦を支援する補助金である
・事業再構築補助金の採択率は40%前後である
・第7回の応募締切は令和4年9月30日(金)18時
・対象経費になるのは機械装置・システム構築費(リース料を含む)・技術導入費・専門家経費など
・補助額は従業員数によって上限が変わり、補助率は中小企業等に該当するか中堅企業等に該当するかによって変わる
以上の点が重要なポイントでした。
事業再構築補助金の補助額は他の補助金よりも高いため、要件に当てはまる場合には積極的に活用すべきです。